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梅雨明け後、日本の夏本番を迎えようとしているここ、らかん高原オートキャンプ場。さわやかな朝の風、心地よい風が吹き抜ける朝でした。
キャンプ場の受付付近で足元に目をやると、ぽつり、ぽつりと白い花が落ちています。見上げれば、青々とした葉の間に、清らかな白い花を咲かせているのは夏椿(ナツツバキ)です。別名、沙羅の木(シャラのき)とも呼ばれます。
その花は、まるで純白の絹でできたかのようで、夏の強い日差しの中にあっても、ひときわ涼しげな趣があります。朝開花し、夕方には散ってしまう一日花。その潔いまでの散り際には、はかない美しさとともに、どこか悟りの境地を感じさせます。
「沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」
平家物語の冒頭に登場する沙羅双樹は、この夏椿のこととも言われています。はかなくも美しい沙羅の花が、その命を終え、地に落ちる姿は、まさにこの世の無常を表しているかのようです。
しかし、今日、私の足元に落ちた夏椿の花は、悲しみや無常だけを語っているようには見えませんでした。さわやかな風に揺られ、静かに地面に降り立った白い花びらは、むしろ、その短い命を精一杯に輝かせ、そして次の命へと繋がる、そんな力強いメッセージを伝えているように感じられたのです。
散りゆく花びら一枚一枚が、夏の清々しい風に乗って、何かを語りかけているかのようでした。らかん高原の豊かな自然の中で、束の間の命を全うする夏椿の姿は、私たちの心にも静かな感動を与えてくれます。
らかん高原オートキャンプ場にお越しの際は、ぜひ、その足元に目を凝らしてみてください。きっと、はかなくも美しい、夏の物語に出会えることでしょう。この清々しい自然の中で、心洗われるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。